シャープで高級感溢れるセリフフォントMasqualero.

Masqualero

Jim Fordが制作したMasqualeroは、アメリカのジャズミュージシャンであるMiles Davis(マイルス・デイヴィス)にちなんで名付けられただけでなく、マイルスの際立つ個性を、そのシャープなセリフの最後の1つに至るまで再現しています。勢いのある文字に、多くの複雑なディテール。この書体は、使用するデザイナーの手や書体に込められる言葉に応じて、暗かったり、明るかったり、歓迎されたり、脅されているような印象を受けます。6種類のウエイトとイタリック体を備えているこの書体のカスタムメイドの文字はそれぞれ、読み手を捉えて離さない魅力的なデザインで構成されています。

Masqualeroの書体デザイナーFordが吹雪の中、車でMiles Davisの同名の曲を聴いたときに突然思いつき、長い道のりでこの歌を繰り返し聞き、書体の初期のディテールを頭の中で形作しました。家に戻るなり、Masqualeroという10文字をスケッチし始め、全体のデザインの基礎を形成しました。

Masqualero

「私はこの名前を気に入っています。語呂が良く、深い意味をもつものでもないからです」と彼は説明しています。「Masqualero」というのは、Wayne Shorter(ウェイン・ショーター)がバンドにいた時に思いついた抽象的な言葉です。つまり、Masqualeroは常にその世界とその歌そのものを意味しています。

「Miles Davisのキャリアと個性を醸し出すこの書体には、多くのディテールがあります」と彼は付け加えています。「Miles Davisは言葉が辛辣で、とても頑固な人物でした。多くの人が彼に近寄りがたいと考えていたと思います」

気難しい個性を持つミュージシャンにちなんで名付けられたMasqualero は、デザインの開発においてもMiles Davisの個性が忠実に再現されており、それぞれの文字の複雑なディテールの作成には困難を極めました。

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Masqualeroの大胆な個性は出版の世界にぴったりです

Matthew Carter(マシュー・カーター)の作品を参考にしているデザイナーFordは「Masqualeroには見たことのない、また思いもしなかったような、先端の装飾がたくさんあります」と、述べています。「しかし、それこそが本当に鮮やかな輝きをもたらしているのです。Masqualeroはすべて彫り刻まれたものであり、それぞれの文字がユニークです」

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文字のシャープなラインを作り出すために、Fordは石切りの世界からヒントを得て、各文字の要素間には特に美しいつながりを作り出しています。彼は、各グリフに対して、あたかも「大理石の彫刻」を切り出すかのようなアプローチを取り、1文字ずつ取り組み、コピーと貼り付けに頼ることを拒みました。

このような手法は、デザインの変わり続ける個性とは対照的に、従来の価値観や伝統といった感覚を呼び起こします。その二面性により、このフォントをどのように使用するかに応じて、近寄りがたく、あるいは洗練された、またはその間にあるあらゆるものを同等に表現することができるため、印象が大きく変わる可能性があります。 このフォントの個性は、さまざまなウエイトによってさらに強調されています。そのユニークな性質は、書体の装飾性と妥協のない鮮明さの両方を備えるステンシル体で特に注目を集めています。

このフォントの個性は、さまざまなウエイトによってさらに強調されています。そのユニークな性質は、書体の装飾性と妥協のない鮮明さの両方を備えるステンシル体で特に注目を集めています。

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Masqualeroフォントファミリーには、2つの表示ウェイト、ステンシルとグルーブが含まれています。

また、古典的でエレガントなリガチャー、境界線のつなぎ方、そしてDavis自身の手をモデルとした「秘密の」プリンターズフィスト(指示マーク)など、はじめて目にするもの以上のものを提供しています。

Masqualeroは大胆で個性的であり、出版界にうってつけです。Fordは細かく彫刻されたディテールの最適な用途として、雑誌の題字、ロゴ、ブックカバーを提案しています。その重厚なセリフは、建築用の看板、あるいは生活上のより細々したものにブランドを記すのにも適しています。

「ファッション記事向けといえるほど“メインストリーム”のフォントファミリーというわけではありません。これは黒いタキシードか細くとがったヒールです。このフォントが言葉をドレスアップするのです」

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ステンシルとグルーブの表示ウェイトを含む、フォントファミリー全体を体験するには、Masqualeroの見本帳をご覧ください。