進化する自動車インターフェース:株式会社デンソー
課題:現代のニーズに合った車載用ディスプレイの開発
スマートフォン主流の今の時代、ユーザーがディスプレイに求めるものは、最新のタブレットでも車のダッシュボードでも同じく、シームレスであること、そして鮮明さです。車載用ディスプレイは単に情報を表示するだけの機能から、エンターテインメントを提供し、コミュニケーションのハブとして機能するものへと進化してきています。こうした背景の中で、ディスプレイに表示される文字の瞬読性はますます重要となっています。メモリ容量が限られる車載用ディスプレイにとって、見た目にも美しい高品質のインターフェースの開発はこれまでになく大きな挑戦です。自動車メーカー各社にはすでにリソースの厳しい制約がある上に、世界市場向けに車1台につき20以上の言語対応を求められることも少なくありません。
解決策:複合的なアプローチ
これからのディスプレイに求められるのは一層の個別化・ハイテク化であると考えたデンソーはMonotypeに協力を依頼、この流れに機敏に対応しました。Monotypeは車載専用書体と組込み技術を提供し、デンソーのブランドイメージに合った、新しいドライビング・エクスペリエンスを実現する製品の開発をサポートしました。
スケーラブル技術
デンソーが採用したのは、Monotypeが開発したレンダリングエンジン、Sparkです。低容量フォント専用のSparkは、ビットマップフォントではなく、スケーラブルフォントでの表示を可能にし、メモリの節約に貢献します。デンソーの韓国におけるグループ会社、デンソーコリアでもデジタル計器クラスタにMonotypeの高性能フォントエンジンiType を導入、美しいインターフェースを実現しています。
多言語への対応
デンソーでは20以上の言語に対応するため、MonotypeのWorldType Layout Engine(WTLE)も導入しています。デンソーは、多言語の中でも複雑なつくりのアラビア文字を正確に表示できるフォントエンジンを求めていました。アラビア語では文章は右から左に、数字は左から右に書き、文字は文脈に応じてさまざまに変化します。結果、フォントファイルは大きくなり、デバイスの動作も重くなってしまいます。WTLE ではこうしたアラビア語などの非ラテン系文字のシェイピングが可能です。さらに、Monotypeのフォントリンク技術によって複数言語の文字を1つのフォントファイルに格納できるため、実行時の性能と順応性が向上し、デバイスの小型化とコストの削減が実現します。
車載専用書体の開発
Monotypeは、車載機器にプレミアム車にふさわしい個性とアイデンティティを与えるというデンソーの方針を受け、デンソーの主要取引先自動車メーカーの一部高級車向けに、DIN Nextをベースにした車載専用書体、New HD2.0を開発しました。
視認性研究でリード
Monotypeは長年にわたり、学術機関と共同で自動車分野における文字の視認性、有用性、デザインについて研究し、その成果を査読付きジャーナルに発表してきました。このほかにも、Monotypeはお客様のイノベーションパートナーとして、自社の専門家・エンジニアチームがお客様と密に連携し、新技術の円滑な導入をサポートしています。